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農的共同体「木の花ファミリー」見学

P8261784small ふじの里山くらぶ第8分科会主催の、見学会に参加。場所は、富士山のふもと静岡県富士宮市。血縁を越えた大家族60名ほど)で暮らす農的共同体「木の花ファミリー」を訪ねた。

1994年、世代や血縁を超えて助け合う共同生活を志して、20名で「木の花農園」創立。 富士山の主神「木花之佐久夜毘売命」(このはなさくやひめのみこと)から命名したという。現在は、60名ほどの大家族になっている。創立当初から、調和の精神を基本とし、大自然の多様性にならい、個性を生かした役割を持って、互いに助け合いながら、有機農業を営み、自給自足の生活を送っている。

共同体ということで、広い敷地に住まいと農場があり、地域とは縁のない閉鎖された空間と思っていたが、集落の中に住居や田畑、養鶏場などが点在し、車で移動している。「理想とする住まいを建てるより、不用になった住居を手に入れて、少しずつ理想の住まいになるよう、手を加えていくほうが、ずっと地球に優しいでしょ?」との言葉に、なるほど!

8ヘクタールの畑(250種の野菜)と7ヘクタールの田(10種類の米)を耕し、鶏を平飼いし、山羊の飼育し、養蜂も行っている。この農園の特徴は、生物の多様性を生かした有機農法。微生物や昆虫の力を借り、植物の特徴を生かした作付けを行い、何より生き物の免疫力を高めて病害虫を防いでいる。

ポイントは、「木の花菌」の使用。これは、EMをベースに松、びわ、熊笹など抗酸化物質豊富な葉を入れて培養したオリジナル。肥料や家畜飼料の発酵、人や家畜の飲用に使用している。有効微生物の働きで、バランスの取れた環境を作り出すそうだ。

養鶏場(600羽ほど)では、全くといっていいほど臭わないのに驚く。養鶏場の固定概念は見事に覆された。その理由は、木の花菌を混ぜたエサと水にあるという。平飼いで鶏にストレスがかかっていないのがわかる。抗生物質は一切使用していないそうだ

P8261776small 隣にあったお手製のコンポストトイレ。こちらもまったく臭わない!用を足した後に、木の花菌入りふりかけをぱらぱら。攪拌するだけでし尿処理終わり。微生物が食べてしまうため、量は増えないという、画期的なもの。これなら巨額な下水道設備も高度合併浄化槽も必要ない(スペースがあって、手間を惜しまず、その作業を厭わなければの話だが)。

有機農法や自給自足の暮らしには、学ぶところが多かったが、ファミリーの生活の仕方には、戸惑う点があった。まず、経済的な点。ファミリー全体で「ひとつの財布」で、収入を大人全員で均等に分配し、全員の生活費を平等に負担。仕事の内容や量には関係なし。私有財産もみんなが知っていて、共有(私有財産とはいえない?)。次に、血縁を超えた家族という概念と暮らし方。子どもたちは、互いを兄弟として育てられる。生まれてしばらくの間は、母子でいるが、その後は、子育て担当の人が育児にあたる。夜眠るときも別だそうだ(本人たちの選択であって、禁止されているわけではないそうだが)。

夜には、創立以来、一日も欠かしたことがないという、「大人ミーティング」が開かれる。その日の作業の進み具合や明日の作業分担の確認だけでなく、プライベートな内容も、みんなで話し合われるという。

創始者メンバーで、「いさどん」こと古田偉佐美さんいわく、「差別のない社会づくりは、自然の中にヒントがある。はずれているものは何もない。優劣の差はない。われ先の心が不調和を生み、環境汚染や戦争を引き起こす。自分はみんなのためにある。われわれは、地球上の細胞の一つ。」

P8261786small 子どもたちは、地元の公立学校に通っているそうだ。菜食主義のファミリーだが、子どもは学校給食も食べているということだった。家族の概念や公立学校の教育内容がファミリーの価値観と違うことで、子どもたちに混乱が生まれないかと尋ねたが、子どもたちは価値の多様性を理解しているので、混乱はないとのことだった。

現在は、NPO法人「青草の会」が設立され、農業体験だけでなく、共生型グループホーム「まことの家」の運営、心身のケアの提供、障害者、ひきこもりなどの社会復帰の手助けなど、幅広い活動も行っているそうです。(2009/8/26)

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