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三重県視察

  議会運営委員会で、三重県伊賀市と三重県議会を視察。  議会基本条例、議会改革の取り組みを伺った。P8020657small

伊賀市では、伊賀忍者ならぬ伊賀忍者電車が出迎えてくれた。写真は「くのいち」電車だが、ブルーの忍者電車もあった。夏らしく、車内で風鈴が心地よい音を鳴らす、風鈴電車もあった。観光に力を入れていることが伝わってきた。

伊賀市の人口は、約10万人。平成19年3月の議会で、市としては全国初の、議会基本条例を制定した。きっかけは、平成16年11月の合併後、伊賀市自治基本条例を12月24日に公布・施行され、住民自治協議会(市内38)に諮問・提案・同意・決定の権限が与えられ、議会不要論を払拭するためだったそうだ。

平成18年4月、議長の私的諮問機関「議会のあり方検討委員会」を立ち上げ、住民との意見交換会やパブリックコメントなどを行ないながら、住民意見の反映にも努めたそうである。議会内で議論となったのが、議会モニター制度(監視のイメージがある、誹謗中傷の懸念)、行政への反問権の付与(ケーブル生中継があり、答えに窮した場合は、かっこわるい)、出前講座を含む議会報告会の開催(忙しいのにこれ以上の拘束は困る)。議論の結果、モニター制度は削除されたとのこと。

一問一答が行なわれていること、市民から要請があれば、出前講座が開かれることなど、相模原市でも取り入れたいことがあった。伊賀市では行政側から議員に対し質問する反問権が付与されているが、三重県議会では、議会自らが、行政側にそのような権利を付与するのはおかしい、との意見であった。

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翌日の三重県議会。議会改革を支えた議会事務局職員から、話を伺った。地方分権一括法により、首長の権限は拡大する一方、機関委任事務の廃止で、議会は自治体の事務全てに関われるようになった。改革派知事として知られる北川知事となり、知事主導で行政改革がどんどん進められるにつれ、議会の存在意義が問われる事態に。議員の間で危機感が高まり、保守系議員から超党派の議会改革の呼びかけがあったそうだ。二元代表制に基づく議会本来の目的は何か、それを実現するための手法が議論され、三重県議会基本条例の制定となった。

本市もそうだが、条例は魂の入っていないものが散見される。国の法改正に基づいたり、他の自治体が持っているから本市も、などと横並びで作られた条例は、実効性がない。しかし、課題解決の必要性や先駆的に何かを進めようという積極的なモチベーションで作られた条例は、利用価値が高い。三重県議会基本条例は、まさに後者で、議員と議会事務局職員が県議会の名誉と誇りにかけ、県民の負託に応え、分権時代を先導する議会をめざそうとする気概が感じられる。条例の制定が目的ではなく、議会改革を目的とし、さまざまな議論を経て、条例の制定につながった点を見習いたい。

本会議をセレモニーの場ではなく、議論を尽くす場とするため、対面演壇方式(議員が市長など執行部と向き合う方法)となり、質問は1問1答式を含む分割質問方式、一括質問方式を議員が選ぶことができる。大型スクリーンを設置し、傍聴席や議員から質問者が見えるようにした。オーバーヘッドカメラの設置で、質問時に用いる資料をスクリーンに映すこともできる。傍聴規定も大幅に見直し、氏名、住所の記入も削除、傍聴席での写真、ビデオ撮影、録音も解禁。乳幼児同伴者、児童の傍聴も解禁している。

画期的なのは、予算編成に議会が関わるプロセス。予算常任委員会では、7月中旬に財政当局から県財政の現状の説明を受ける事から始まり、知事の方針案への事前通告なしの質疑、各部局からの予算要求を行なうまでの段階での説明、調査を行なうなど、議会は単に要望を行なうに留まらず、編成過程においてもチェック機能、政策提案機能を果たしている。

議会事務局職員に、「事前の答弁調整はないのか」と尋ねたら、「こちらの手の内を相手に知らせる必要はないでしょう。」と一笑された。その一言に二元代表制に基づく、有権者の負託に応える議会とは何か、が凝縮されている。ひるがえって、わが相模原市議会。作文の朗読会のような本会議が続く。改革の道のりは遠いが、あきらめず前進させていこう。(2010/8/3)

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