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福島原発事故で苦しむ 福島市へ

東日本大震災以降、選挙があったこともあり、相模原市にいて後方支援をするだけであったが、福島原発事故で苦しむ被災地入りの機会が、突然やってきた。知人が福島市で講演会を主催。参加の呼びかけがきたのである。

演題は『よみがえれ福島 命めぐる大地  ~今、聞きたい! 放射線防護と農地再生 菜の花プロジェクト~』 。 NPO法人チェルノブイリ救援・中部の河田昌東(かわたまさはる)さんの講演である。

ツイッターだけのつぶやきで、広報はしなかったというが、定員をはるかに上回る200名を越す人々で、会場は埋め尽くされた。

政府や東電、原子力安全・保安院による情報は、今や信じられない。原発事故後、20年にわたりチェルノブイリで支援活動をしてきた河田さんらに、事実を伝えてもらい、今の福島の現状をどう考えればいいのか、これからどんな対応をしていけばいいのか、それを見極める目的で企画された。集まってきたみなさんは、真剣な面持ちで話を聞き、自分や家族の置かれた状況を理解しようとしていた。

河田さんらは、すでに県内各地の放射線量を計測し、ある程度の実態をつかんでいた。強調されたのは、実態にあった対策が必要ということ。20キロ圏など、原発からの距離で区切った今の日本の対策はおかしい。それは、チェルノブイリの汚染状況が、距離とは関係なく、まだら模様であったことからも明らか。地形や風などの気象条件によるところが大きいのだそうだ。

南相馬では、避難所にしてもいいくらい、汚染されておらず、一方、距離は離れていても、飯館村などの内陸部では、数値が高い。とにかくきめ細かな測定を行うこと、実態に合った対策が必要だと繰り返されていた。

また、汚染された食べ物や水、空気による内部被爆が問題であり、政府の発表は内部被爆を軽視している、との指摘であった。汚染されたエリアの山菜やきのこは危険。また、今後は、海の汚染による海産物に注意する必要がある。

内部被爆では、細胞内の水分子を切断し破壊。甲状腺がんや白血病だけでなく、心臓病、脳血栓、糖尿病、先天異常なさまざまな症状となって現れてくる。特に、乳幼児や子どもへの影響が心配される。甲状腺がんは、女子の発症率が高い。

チェルノブイリ原発から70キロ離れたプロジチで、土壌汚染を取り除くために取り組んだのが、「菜の花プロジェクト」。終わりが見えない支援をなんとかしたいという崖っぷちでの取り組み。放射線物質を吸収する植物を選び、なおかつ地域経済にも有用な植物ということで、菜の花が選ばれた。菜種からしぼった油(BDF)には、放射能は入ってこない。葉や茎を発酵させたバイオガスは利用し、放射能で汚染された油カスや茎などは、放射能を吸着剤で取り除き、畑へ返し、吸着したものは減量、濃縮して永久保管しているそうだ。

今、大変迷惑しているのが、菜の花やひまわりを植えれば放射性物質が浄化されるという、間違った情報。植えれば放射能が消えるのではない。その理由は、2つ。①植物が吸収した放射性物質をどう処理するか、その対策なしには意味はない。②福島とウクライナの汚染状況は全く違う。放射性物質の種類にあった植物を選ぶ必要がある。ちなみにセシウム137は、からしな、クレソン、キャベツ、大根に吸収されやすいとのこと。

河田さんの福島での具体的な提案。①表層に放射性物質が留まっているうちに、表土を剥離する ②低レベルの土は、深くまで掘って混ぜてしまう ③中レベルのものは、植物を使った土壌改良(ただし、汚染物質の処理対策が必要) ④土壌汚染対策法を改定し、放射性セシウム、ヨウ素、ストロンチウムなどを加える 

会場からは、このまま福島で生きていけるのか、学校への登校は文科省で出している数値で十分か、農作物などの基準は大丈夫か、甲子園めざして頑張っている息子、このままこの地で野球の練習をさせて大丈夫か、などなど。どなたからも必死の思いが伝わってくる。また、中学生の子どもをもつ母親からは、県の教育委員会の対応の遅さ、安全基準への判断の甘さを指摘する発言があった。

野菜などの基準値については、ウクライナが事故から10年たって、数値を見直したその基準値からすると日本は甘すぎる、0.6マイクロシーベルト/hを越えれば放射線管理区域の中にいるのと同じ。一人ひとり線量計をもって被爆量を測定する必要があるなどの答えがあった。

会場に渦巻く、理不尽な事態への、怒りと不安と、嘆き。計画停電もなくなり、日常を取り戻した私たちとのこのギャップ。日本、いや地球上に生きる全ての人々が想像力を働かせ、自分自身の問題として考えていかなければ、解決の道はない。

折しも、翌日、アメリカの民間会社NRGエナジーの、原発2基建設への出資の取りやめ、イタリアでは無期限凍結を宣言したとの報道があった。菅首相は福島県入り。日本のエネルギー政策も思い切った転換を図るべきだ。(2011/4/21)

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