尊い命を守れなかったと知った時、「どうして?」という思いと「やはり」という思いが脳裏をよぎった。
政令市への移行で、私が一番懸念していたのが児童相談所の運営。専門職員の育成に努め、十分な職員体制をとって、慎重に運営するよう、警笛を鳴らし続けてきた。最悪の事態を引き起こさないために。犠牲になるのは子どもたちだからと。
昨日、民生部会が開かれ、非公開で職員からの経過説明と委員からの質疑があった。
児相の対応について、ターニングポイントといくつかの問題点に気づいた。プライバシーの保護や秘密会に準じるという部会の趣旨により、それらを具体的に書くことはできないが、今後、問題の解決に向けて、力を尽くすことしか私にはできない。
決定的に不足していたのは、少年の気持ちを受け止めて、彼に寄り添い、安心していられる場所(方法)をみつけ、事態を打開する方法をいっしょに考えてくれる大人。
それが、児相の職員でも、家族でも、先生でも、児童館や児童クラブの職員でも、親せきの人でも、地域のおじいちゃんやおばさんでも、警察官でも、誰でもかまわなかった。
少年が、どんなに孤独で、不安で、つらかっただろうと思うと、いたたまれない。
児相につないでも問題が解決しなかった事例や学校でのいじめ問題など、これまで関わってきた経験から、「子どもの人権オンブズパーソン制度」の導入にこだわってきた。
悩みを抱えた子どもが、家族や先生、友だちにも話せない、話したくないと持った時、安心して相談ができ、相談を受けた大人が、子どもの気持ちに寄り添いながら、その子にとって一番いい方法を一緒に考え、問題を乗り越える手助けをする仕組みである。
25年12月から働きかけを始め、ようやく今年度11月2日から、市の青少年学習センター内に「さがみはら子どもの権利相談室」がオープン。電話でも相談室でも、子どもの権利相談員に相談ができるようになった。必要なら専門家の「子どもの権利救済員」につないでくれる。
(子どもの電話相談 0120-786-108 )
(大人の電話相談 042-786-1894)
*子どもの権利侵害に関すること
月~金 午後1時~8時
土 午前10時~午後5時
少年の救済には間に合わなかった。
それが、悔しいし、悲しい。
先日、「コドモのミカタ」の勉強会で、CAPかながわの方から、子どもの権利とは、「安心」「自信」「自由」があることと教えていただいた。
この3つがどの子にも保証できるような、そんな社会をつくっていきたい。
謹んでご冥福をお祈りします。(2016/03/23)