勉強会「超高齢社会における大都市制度改革」に参加
昨日は、大都市制度に関する特別委員会で勉強会を開催。
講師は、一橋大学副学長 辻琢也氏。
演題は、『超高齢社会における大都市制度改革』。
辻氏は、相模原市の合併審議会の委員でもあったため、これまでの経過や市の特徴を熟知されている。
国全体の人口推計、市の人口動向分析、公示地価の推移、都市圏域の分析、2040年の地方都市の予測、住宅需要、地方財政計画の推移など、数々の統計資料を示しながら、相模原市のこれからの制度改革について、論点を指摘された。
区役所の役割を考える上で、ポイントは3つ。
〇急増する高齢者(特に都市部、単独世帯)への福祉サービスをどうするか。
〇出生率の改善(対象数は少ないが重要)にむけて何ができるか。
〇資産価値を下げない(住み続けてもらえる)まちづくりをどう進めるか。
75歳以上の高齢者の増え方は、23区と周辺部(多摩地域、横浜市や相模原市、埼玉、千葉)とでは、大きく異なる。郊外部に一軒家を求めて移住した世代が集中する地域は、超高齢化の問題が深刻。
さらに、相模原市の人口動態を分析すると、*合計特殊出生率の低さ、大学生世代、就職世代の転出超過、住宅購入世代の転出超過が目を引く。
*合計特殊出生率 全国平均:1.43 相模原市:1.24 大和市 :1.41 神奈川県:1.32
市全体で、高齢者対策に取り組みつつ、対象は少ないが、地道に出生率をアップさせる対策や若者、家を持つ世代の転出超過を防ぐ対策にも力を入れる必要がある。
特に印象に残ったのは、まちづくりをする上での留意点。
極めて楽観的に人口推計しても、全国的には、急激に人口が減少していく。
地方では、若い人も減るが、高齢者も減っていく。一方、大都市圏では、かなりの人口は残るものの、高齢者の滞留人口率が高い。特に単独世帯の半分が高齢者世帯。生活保護世帯になりやすい。(2050年には、単独世帯が約4割。そのうち、半数は、高齢者世帯!)
都市部で空家が増え、スカスカになっていくと、住宅地の中での資産格差が生じ、価値が下がれば、転出が加速する。
氏いわく、「資産が下がらないまちづくりが重要」。「夢を見るのはいいが、夢を見すぎるとガブガブになって、負の資産が影響していく。」
そのとおーり!何がこれからの価値につながるのか、しっかり踏まえた上で、全体の土地利用のあり方を考えるべきなのだ!
財政面では、社会保障費の伸びは、「人件費(職員数)の抑制」と「公共事業のがまん」では、限界があると指摘。当面の取り組みについて、下記を挙げられた。
・特別自治市制度の検討や具体的な制度設計、法制化。
・市民生活の向上につながる事務の権限移譲の実現。
・都市内分権について、総合区制度も含め、区のあり方や住民自治の強化についての検討と可能な取り組みの先行実施。
広域交流拠点整備と人口推計や財政課題、まちづくり、高齢化への対応。そして、区役所のあり方。
全体を俯瞰しながら、全体最適をどう導くか。
市議会として、この問題にどう向き合うか。
その取り組みの重要性を再認識した。(2018/1/19)
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